《連載コラム》食事は身体を育てるだけではないのです~食事で育まれる親子の絆~

保育・子育てアドバイザー 研究員の上野里江です。

毎日の食事、楽しんでいますか?
食欲の秋。「お腹空いた~」「これ、美味しいね!」と、親子の会話も弾む秋。
食事は、子どもの身体を育てるのはもちろん、親子で、家族で、楽しい時間を過ごす時に欠かせないものですよね!

食べることは生きること。
心を満たしてくれる食事について、一緒に考えてみましょう。

 

おふくろの味って?

子どもが大好きなカレーライス。
私が小さい頃、母が作ってくれた定番カレーは「ひき肉カレー」でした。
カレーと言えば、「ひき肉カレー」で育った私。大人になるにつれてビーフカレーやチキンカレー、キーマーカレーやグリーンカレーなど、様々なカレーの味に出会い、世の中にはこんな美味しいカレーがあったのか!と、色々なカレーを自分で作ることにも挑戦してみました。

でも、自分が母になり、我が子に初めて作ったカレーは、あの「ひき肉カレー」でした。

私の母が作ってくれたあの味…無意識のうちに私の中で、カレーといったら「ひき肉カレー」になっていたのでしょうか?
これって、おふくろの味っていうのかしら?

「ひき肉カレー」は、私の家族の定番カレーになりました。

この味、この料理を食べると思い出すあの頃…そんな、小さい頃から食べているものはなんだかホッとしたり、安心したりしますよね。
きっとそれには、食卓での会話だったり、笑顔だったり、心が満たされた思い出が詰まっているのだと思います。

あなたにとってのおふくろの味は、何かしら?

 

心に残る食の思い出

ちょっと記憶をたどってみて下さい。あなたが小さかった頃のこと…

運動会…家族みんなで食べたお母さんが作ってくれたお弁当。
誕生日…お料理が並んだテーブル、家族みんながお祝いしてくれたあの日。

記憶の中に、どんな食べ物がありますか?
きっと何歳になっても、食べ物と結びついた思い出は心の中にずっと残っていますよね。

私の記憶にも、秋の運動会前日に母が栗の皮をむく姿、そして当日家族で食べた栗ご飯のおにぎり。
誕生日には、私の大好きなリンゴの入ったスパゲッティサラダ…
思い出すと、当時の気持ちまで蘇ってきます。

母の愛、家族の愛情を感じる思い出に支えられて今の自分があるのだなぁ…と思うと、食事は身体を育てるだけでなく心を育ててくれるものだと思うのです。

「食生活」って、家庭ごとに違いがあるからこそ、その家庭ならではの料理や食べ方は家族だけのうれしい共通点。大人になると懐かしい絆を感じますよね。

我が子にも「これを食べると思い出す」そんな思い出の一ページを残してあげたいなぁ、と思う今日この頃です。

 

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子どもが食べないのは母のせい?

「うちの子、好き嫌いが多くて」「お菓子ばっかり食べて、ご飯を食べないんです」
そんなお悩みを聞くことがあります。我が子には、何でも食べる元気な子に育って欲しいというのは、世の中のお母さん共通の願いですよね。

私もそう思います。

でも、何でも食べさせなくては!と、お母さんが一生懸命になりすぎると、楽しい食事ではなくなってしまいます。
怒りながら作った大根おろしは辛くなる、と聞いたことがありますが、食事は笑顔で食べたほうが美味しいですよね。

子どもによっては、味覚に敏感な子も苦手な食感がある子もいます。それはひとりひとりの子どもの姿。

揚げ物にソースをつけるのが嫌で、私が良かれと思ってつけてあげると怒っていた息子。「つけたほうが美味しいよ!」と進めても、「ぼくはつけないほうがいいのに、ダメなの?」と言われて、しぶしぶ納得した私。子どもの好き嫌いや好みは、お母さんのせいではないのです。

保育園でたくさんの子どもたちと関わってきた私は、子どもが急に食べ始める瞬間、というのを何度も見てきました。
友だちがきっかけだったり、その場の雰囲気だったり、子ども自身の気持ちが動いた瞬間、それまで苦手だったものを食べられるようになったのです。
子どもは、その子のペースでちゃんと成長しているのだ、と実感しました。

だから大丈夫。その子の姿をそのまま受け止めたうえで、食べることが楽しいと思える経験を積み重ねてあげることが、子どもの成長に繋がっていきます。

 

食べることは、毎日のこと。子どもの食を支えるお母さんは、頑張りすぎないことが大事。
どうやったら食べるか?ではなく、どうやったら楽しい食事になるか?を考えていくと、笑顔になりますよ。

 

食を楽しもう!

娘が3歳の頃、「そらまめくんのベット」という絵本が大好きでした。絵本に出てくる「ベット」というのはそらまめの皮のこと。
娘は、ふわふわベットの絵を見て「どんなにふわふわなんだろう?」と想像を膨らませていました。

そこで、本物のそらまめくんのベットを体験させてあげたい!と思い、そらまめが旬の時に一緒に皮むきをしたのです。
不思議な形のそらまめの皮を開いてみると、中には白くてふわふわしたものが…。「あっ、ベット」「そらまめくんのベットだ!」目を丸くしてビックリ顔の娘。初めて食べたそらまめは、ふわふわベットと共に思い出に残っているようです。

食材に触れる経験は、子どもにとって印象深いようですね。今でも、そらまめの皮むきは進んでやってくれる娘です。

旬のもの、季節を味わうのに欠かせないのが伝統行事。ひな祭りにはちらしずし、子どもの日にはかしわ餅、お月見にはおだんご。子どももイベントは大好きですよね。楽しい経験は、食べる意欲や美味しい!に繋がっていきます。

お母さんと一緒に作ったり、食べたりを経験することは、楽しさも2倍!

是非、子どもと一緒に食を楽しむ時間を作ってみてくださいね。

 

母が完璧じゃなくても子は育つ

母になって16年の私ですが…実は、食に関してのこだわりがないので料理は一向に上手くならず?
「夕食、何か食べたいものある?」と、子どもたちに聞くたびに「美味しいもの!」という答えが返ってきてメニュー決めに頭を悩ます毎日です。

料理が得意なお母さんを目指して、なんとかしようと頑張った時もありましたが…

以前保育園で、子ども同士がお母さんのことをあれこれ話している時に「お母さんが作ってくれるご飯、何が好き?」と聞いてみました。すると「ハンバーグ」「カレー」「納豆」「焼肉!」など、うれしそうに教えてくれる子どもたち。その笑顔を見ていたら、お母さんが作る料理は何でも美味しいのかも?と感じました。

子どもは、お母さんと一緒に食べるから美味しいのでしょうね。

それに気づいてから、なんだかホッとした私。
完璧を目指して頑張るより、子どもと楽しく食べる時間を作ろう!と思うようになりました。

仕事をしながらの子育ては時間に追われてバタバタすることばかりでしたが、食事の時だけは、一日にあったことを話したり、食べ物クイズをしたり、子どもと向き合う時間にしようと心がけてきました。そして今、目の前にはスクスク成長している我が子がいます。

レパートリーが少なくても、ゴージャスな料理が出来なくても大丈夫!そう実感しています。

いまだに「これ、しょっぱい」「焦げてる…」なんてクレームもありますが、時には「この味噌汁、わかめと玉ねぎ好きだよ」なんて、息子の一言に幸せを感じつつ、家族のやさしさに感謝!

私の作る料理で子どもたちの身体と心は作られている

食事はお腹を満たすだけでなく、心を満たすもの

そんな思いを胸に、毎日の食事を楽しんでいきましょう。

そして、お母さんとの会話、お母さんの笑顔で、子どもの心を満腹にしていきましょうね。

 

次回は、食事のマナーとしつけについてお届けします。
お楽しみに!

 

 

●プロフィール
保育・子育てアドバイザー
上野里江
HP:http://smiley-ai.com

保育士歴30年。保育園、幼稚園、子ども園で3000人以上の親子と関わり、その後3年間療育に携わる。
子どもに関わる大人を元気に笑顔に!をモットーに、コミュニケーション講座や相談を行なっている。

 

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