母子手帳は、いつ、どこでもらえるの?‐手続き方法から役割、活用方法、外国人向けの手帳情報まで

病院で妊娠が確認出来たら必ず届出をして入手しなくてはならないのが「母子健康手帳」です。

私たちが普段「母子手帳」と呼んでいるそれは、妊娠、出産、育児においてなくてはならないものです。
今回は、その入手方法や役割などの基本情報から、いざという時に役立つ情報、外国人向けの母子手帳情報など、母子手帳に関するあれこれをお伝えします。

そもそも「母子手帳」って何?

 

母子手帳の正式名称は「母子健康手帳」、その歴史は戦前の昭和17年にまで遡ります。
妊娠中や乳幼児期は急に健康状態が変化しやすいこと、この時期が生涯にわたる健康づくりの基盤となることから、母親と子どもの健康を守るため生まれた手帳です。当時は「妊産婦手帳」という名称で、出産時の記録や、赤ちゃんの健康状態などを記録するためのものでした。
その後、社会情勢や法改正に合わせて幾度の改正を経て、妊娠中から乳幼児期までの記録や情報を広く扱う現在の「母子健康手帳」となりました。

また、現在では、全国一律で同じものというわけではなく、自治体によって内容や大きさも異なります。特に表紙のデザインは様々で、自治体のゆるキャラやディズニー、子ども服ブランドのファミリアのものなど、見ているだけでわくわくするようなデザインのものが多いようです。

母子手帳の入手方法

母子手帳は妊娠したら必ず交付されますが、ただ待っているだけではなく、診断を受けたのちに自分で届出をしなくてはなりません。
その手続き方法をご紹介いたします。

・母子手帳はいつもらえる?
産婦人科で妊娠の確認ができたら、次回の健診までには母子手帳を受け取るようにと指示されると思いますので、速やかに申請をして交付を受けましょう。一般的には、赤ちゃんの心拍が確認できる、妊娠3か月目頃までには交付を受けることになります。

・必要なものは?
母子手帳交付の申請に必要なものは、「妊娠届出書」と「個人番号カード」(マイナンバーカード)の2点です。
ただし、マイナンバーカードを持っていない場合は、個人番号確認のための書類と、本人確認のための書類が必要です。個人番号通知カードやマイナンバーが記載された住民票と、運転免許証やパスポートなどになります。

妊娠届出書には、分娩予定日や妊娠の診断を受けた医療機関名なども記載するので、必ず確認をしておきましょう。

・代理の人でも受け取れる?
つわりや切迫流産、絶対安静などで本人が受け取りに行けない場合などは、代理人でも受け取ることが可能です。その場合は、上記の必要書類にプラスして、委任状と、代理人の身元確認書類も必要です。

・どこで受け取れる?
役所の窓口や保健センター、子育て支援センターなど、各自治体によって異なりますので、お住いの地域の情報をホームページなどで確認しましょう。保健師との面談などがある自治体もあるようです。
また、母子手帳交付の際、妊婦健康診査(妊婦健診)の助成券やマタニティマーク、父子手帳なども同時に交付する自治体も多いようです。

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母子手帳の役割と内容

母子手帳は大きく分けて、「記録」と「情報媒体」としての2つの役割があります。
特に「記録」としての役割は大きく、乳幼児の健康状態、健康診査や予防接種の記録などを一貫して1冊に記していくことで、転院、転居などで異なる医療機関を受診しても、スムーズに子どもの状態を把握することができます。また、その役割は、子どもの成長段階に応じて変化していきます。

・妊娠中の記録として
妊娠初期の4か月頃から定期的に行われる妊婦健診。
健診では、お腹の中の赤ちゃんの身長や体重を測ったり、ママの体重、血圧測定、尿検査などし、その記録を医師や看護師が母子手帳に記入します。
そのほかにも、両親学級の記録や歯科検診の記録のページもあります。

・出産時の記録として
出生時の身長・体重、赤ちゃんの健康状態、検査記録などを、医師や助産師、看護師が記入します。自治体の公印が押された出生届出済証明のページもあります。赤ちゃん誕生時のママの気持ちを書く欄や写真を貼るページ、手形を押すページなどもあり、思い出を残すという役割もあります。

・育児中の記録として
赤ちゃんの身長や体重を記録、管理するための発育曲線や、健康診査や予防接種の記録をするページがあります。また、成長の様子や心配なことなど保護者が記入できるようにもなっており、あとから振り返ることのできる育児日記としても活用できます。

・情報媒体として
母子手帳には、妊娠、出産、育児において最新かつ重要な情報が幅広くコンパクトにまとまっています。例えば妊娠中や産後の食事(栄養)、予防接種のスケージュール、事故の予防、離乳食、心肺蘇生法、相談窓口…等々。

インターネットが普及している現代では、知りたいことがあればパソコンやスマートホンで調べて簡単に情報を得ることができます。しかし、中には事実ではないことが書かれている場合もあり、誤った情報を得てしまうことも起こりえます。何か疑問に思ったときには、まずは母子手帳を確認してみることをお勧めします。

こんなときはどうする?いざというときのQ&A

・外国語の母子手帳がほしい!
在留外国人の数がこの10年で30万人以上も増えている日本では、外国語表記の母子手帳がほしいという人も増えていると思います。
自治体によっては、母子手帳交付の際に、日本語の母子手帳か外国語が併記されたものかを選べるようですが、まだ全ての自治体が対応しているというわけではありません。

もしも外国語併記の母子手帳が必要になった場合は、個人でも購入することができます。株式会社母子保健事業団が発行しています。英語、中国語、タイ語、インドネシア語、ポルトガル語、タガログ語、スペイン語、ハングルがあります。

・あとになって多胎児(双子や三つ子)であることが判明!
母子手帳は、1回の妊娠につき1冊ではなく、子ども1人につき1冊、つまり双子なら2冊、三つ子なら3冊受け取ることになります。
母子手帳を受け取った後に多胎児であることが判明した場合、追加で交付されますので、速やかに申請をして受け取りましょう。

・母子手帳を失くしてしまった!
紛失してしまったり、使用の継続が困難なほどに破損してしまった場合は再交付を受けることができます。しかし、母子手帳には妊娠中からの大切な記録がつけられていますので、そのようなことがないように大切に扱いましょう。

これまでの健診や予防接種を受けた自治体、医療機関に依頼すると、再度記入をしてもらえる場合もあります。重要な記録ですので、必ず問い合わせてみましょう。

・海外で出産したので日本の母子手帳を持っていない!
そのような場合も交付を受けることができますので、転入先の自治体に申請をしましょう。
ただし、出産をした国で、母子手帳にかわるもの(「Health Book」など)があれば、そちらも重要な記録となりますので、紛失しないようにしましょう。

・母子手帳交付後に流産してしまった…
母子手帳を受け取った後に、残念ながら赤ちゃんがなくなってしまうというケースも起こりえます。妊娠12週以降に流産や死産、中絶をした場合、7日以内に役所に「死産届」を提出しなくてはなりません。母子手帳にもその旨が記載されます。

母子手帳の返却は必要ありませんので、お腹の中にいてくれた証として保管しておいても良いですし、お寺で供養してもらうこともできます。ママとパパで相談して決めてくださいね。

電子母子手帳=アプリも登場!

 

従来の紙の母子手帳を補完するものとして、電子母子手帳=母子手帳アプリも登場しています。

母子手帳アプリ「母子モ」を導入している自治体が増えてきており、2019年5月現在、160以上の自治体で導入済みです。

「母子モ」は、データとして記録できるでなく、予防接種や健診などのタイミングでの通知機能や、家族と写真を共有できる機能などがあります。また、データをクラウド上に保存するため、自然災害などで母子手帳を紛失してしまっても、すぐに情報を呼び起こすことも可能。これは紙の母子手帳にはない強みであると言えるでしょう。

お住いの自治体が「母子モ」を導入していなくても、スマートホンやタブレット端末、パソコンからも利用が可能です。(対応OS:iOS 8.0以上、Android 4.1以上)

母子手帳を上手に活用しよう

 

母子手帳には様々な役割があり、出産・育児をする上で欠かせないものです。しかしそれは、決して、事務的な情報媒体や記録をするためのものではありません。

筆者の手元にある母子手帳には「母と子の健康をまもり、明るい家庭をつくりましょう」とあります。母子手帳を上手に活用して、ぜひ、マタニティライフや育児を楽しんでもらいたいと願っています。

 

<参考URL>

厚生労働省 母子健康手帳について

厚生労働省 すこやかな妊娠と出産のために

株式会社母子保健事業団 

母子手帳アプリ母子モ

 

イラストレーター:sekka

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